カテゴリ: VB.NET 更新日: 2026/01/19

VB.NETの例外を上位メソッドに伝播させる方法!エラーを正しく報告するコツ

VB.NETで例外を上位メソッドに伝播させる方法
VB.NETで例外を上位メソッドに伝播させる方法

先生と生徒の会話形式で理解しよう

生徒

「先生、小さな部品(メソッド)の中で起きたエラーを、呼び出し元の大きなプログラムに伝えるにはどうすればいいですか?」

先生

「それは『例外の伝播(でんぱ)』という技術を使います。起きた場所で無理に解決せず、上司に報告するようにエラーを上に投げるんです。」

生徒

「そのままエラーを放置するのとは違うんですか?」

先生

「違います!意図的に『今は解決できないから、上の方で判断してね』とバトンを繋ぐイメージです。その正しいやり方を見ていきましょう!」

1. 例外の伝播(でんぱ)とは?エラーのバトンリレー

1. 例外の伝播(でんぱ)とは?エラーのバトンリレー
1. 例外の伝播(でんぱ)とは?エラーのバトンリレー

VB.NETの例外(れいがい)とは、プログラムの実行中に発生する予期せぬトラブルのことです。そして、そのエラーを発生した場所で処理せず、呼び出し元(上位のメソッド)へと引き渡すことを伝播(でんぱ)と呼びます。

プログラミング未経験の方に例えると、これは「会社での報告」によく似ています。現場の担当者がトラブルを見つけたとき、自分一人で解決できない場合は「課長、大変です!」と報告しますよね。課長も手に負えなければ「部長、相談があります!」とさらに上に伝えます。このように、エラーという情報を適切な判断ができる場所まで届ける仕組みが伝播なのです。例外処理を理解する上で、この「どこでエラーを止めるか」という設計思想は非常に重要です。

2. あえてCatchしない!自動的な伝播の仕組み

2. あえてCatchしない!自動的な伝播の仕組み
2. あえてCatchしない!自動的な伝播の仕組み

一番簡単な伝播の方法は、実は「何もしないこと」です。VB.NETでは、メソッドの中でエラーが起きたとき、その場所に Try...Catch がなければ、自動的に呼び出し元のメソッドへエラーが飛んでいきます。これをコールスタックを遡(さかのぼ)ると言います。

「コールスタック」とは、プログラムがどの順番でメソッドを呼び出してきたかを記録したメモのようなものです。エラーが起きると、このメモを逆順に辿って、誰かが Catch してくれるまでエラーが移動し続けます。もし誰も捕まえてくれないと、最終的にアプリは強制終了してしまいます。ですから、「あえて書かない」ことで上に伝えるのも一つの立派なプログラミング手法なのです。


Module Module1
    Sub Main()
        Try
            ' 下位のメソッドを呼び出す
            Calculate()
        Catch ex As Exception
            ' ここで下から飛んできたエラーを捕まえる
            Console.WriteLine("メイン画面でエラーを表示: " & ex.Message)
        End Try
    End Sub

    Sub Calculate()
        ' ここではTry-Catchを書かない
        ' エラーが起きると、自動的にMainへ伝わります
        Dim a As Integer = 10
        Dim b As Integer = 0
        Dim result = a \ b ' ここで0除算エラーが発生
    End Sub
End Module

3. Throw文を使って意図的にエラーを投げる

3. Throw文を使って意図的にエラーを投げる
3. Throw文を使って意図的にエラーを投げる

自動的な伝播だけでなく、自分で「ここでおかしいことが起きたぞ!」とエラーを投げたいときもあります。その時に使うのが Throw(スロウ)という命令です。パソコン初心者の方は、スポーツの「スローイン」をイメージしてください。ボール(例外オブジェクト)をフィールド内(プログラム)へ投げ入れる操作です。

例えば、入力された数字がマイナスだった場合に「それはダメだよ!」とエラーを生成して上に投げることができます。これにより、呼び出し元は「なぜダメだったのか」という具体的な理由を受け取ることができ、適切なエラーハンドリング(エラーへの対処)が可能になります。

4. ThrowとThrow exの違いに注意!

4. ThrowとThrow exの違いに注意!
4. ThrowとThrow exの違いに注意!

ここがVB.NETの学習で最も間違えやすいポイントです。一度捕まえた例外をもう一度上に投げ直すとき、Throw と書くのと Throw ex と書くのでは、意味が全く異なります。結論から言うと、ただの「Throw」を使うのが正解です。

Throw ex と書くと、エラーが起きた「場所の情報(スタックトレース)」が書き換えられてしまい、あたかも「今投げた場所」でエラーが起きたかのように見えてしまいます。これでは、本当の犯人が誰か分からなくなってしまいます。一方で Throw だけを書けば、エラーの発生源から現在地までの「足跡」を全て保持したまま上に伝えられます。デバッグ(間違い探し)をスムーズにするための、プロの知恵です。

5. Try...Catch...Finallyを通過する伝播の流れ

5. Try...Catch...Finallyを通過する伝播の流れ
5. Try...Catch...Finallyを通過する伝播の流れ

例外を伝播させるときでも、Finally(ファイナリー)ブロックは必ず実行されます。例えば、ファイルを開いて読み込んでいる途中でエラーが起き、そのエラーを呼び出し元に投げることにしたとします。このとき、エラーが上に飛んでいく直前に Finally の中身が動きます。

これにより、「お片付け(リソース解放)」を済ませてから、スマートにエラー報告を上げることができます。「トラブルがあったので報告に上がりますが、机の上はちゃんと片付けてきました!」という、非常に責任感のあるプログラムの動きになります。例外処理とリソース管理を両立させる、VB.NETの美しい設計パターンです。


Sub ProcessFile()
    Dim reader As System.IO.StreamReader = Nothing
    Try
        reader = New System.IO.StreamReader("non_existent.txt")
    Catch ex As Exception
        ' ログに記録してから、再度上に投げる
        Console.WriteLine("ログ記録: ファイルが見つかりませんでした。")
        Throw ' 元のエラー情報を保持したまま伝播
    Finally
        ' エラーが起きても、readerが作られていれば必ず閉じる
        If reader IsNot Nothing Then
            reader.Close()
        End If
    End Try
End Sub

6. 内部例外(InnerException)で情報を包む方法

6. 内部例外(InnerException)で情報を包む方法
6. 内部例外(InnerException)で情報を包む方法

時には、起きたエラーを別のエラーで包んで(ラッピングして)上に伝えたいこともあります。例えば「ファイル読み込みエラー」という生の情報を、「注文処理の失敗」という、より大きな意味を持つエラーに作り変えて伝える場合です。

このとき、新しい例外の「中身」に元の例外を隠し持つことができます。これをInnerException(内部例外)と呼びます。呼び出し元は「注文処理が失敗したんだな」と分かりつつ、詳細を確認すれば「原因はファイルがなかったからか」と深い理由まで知ることができます。クラスとオブジェクト指向の考え方を取り入れた、高度な伝播のテクニックです。


Sub PlaceOrder()
    Try
        ' 支払い処理(ここでエラーが起きるかも)
        MakePayment()
    Catch ex As Exception
        ' 元のエラー(ex)を中に含めて、新しいエラーとして投げる
        Dim newEx As New Exception("注文処理を完了できませんでした。", ex)
        Throw newEx
    End Try
End Sub

7. どこまで伝播させるべきか?「一箇所で止める」の原則

7. どこまで伝播させるべきか?「一箇所で止める」の原則
7. どこまで伝播させるべきか?「一箇所で止める」の原則

何でもかんでも上に投げればいいというわけではありません。伝播の最終目的地は、通常はユーザーインターフェース(画面)に近い場所になります。なぜなら、最終的にエラーを「画面に表示してユーザーに謝る」か「こっそりログに記録してやり直す」かを判断できるのは、全体の流れを管理している上位のメソッドだけだからです。

末端の小さなメソッドで勝手に MsgBox を表示してしまうと、後でそのメソッドを「画面がない別の場所」で使い回したくなった時に困ってしまいます。基本は「下位ではエラーを検知して投げる」「最上位でまとめて捕まえて表示する」という役割分担を意識しましょう。これがアプリケーション設計の王道です。

8. 非同期処理(Async/Await)における伝播の注意点

8. 非同期処理(Async/Await)における伝播の注意点
8. 非同期処理(Async/Await)における伝播の注意点

最近のプログラムでよく使われる非同期処理(時間のかかる作業を裏でやること)でも、例外は伝播します。しかし、通常のメソッドと違って、エラーは Task(タスク)というオブジェクトに包まれて運ばれます。

Await というキーワードを使って結果を待っている場所で、その包みが開かれ、エラーが再び投げられます。パソコン操作に慣れていない方は、「裏で頼んだ出前の結果を、玄関(Await)で受け取るときに、初めて注文ミスを知る」ようなものだと考えてください。非同期であっても、基本の Try...Catch で伝播してきたエラーを捕まえられるよう、VB.NETが裏側で複雑な処理を代行してくれています。

9. 伝播を使いこなすためのデバッグ術

9. 伝播を使いこなすためのデバッグ術
9. 伝播を使いこなすためのデバッグ術

例外が何層も重なって伝播してくると、原因を特定するのが難しく感じることがあります。そんな時は、Visual Studioの「例外設定」を活用しましょう。エラーが発生した瞬間に、伝播を待たずにその場所でプログラムを一時停止させることができます。

これを「例外がスローされたときに中断する」設定と言います。伝播の流れを追いかけるのではなく、発生源を直接叩くことができます。初心者の方は、まず伝播の仕組みを理解し、その上で便利なツールを使ってエラーと向き合ってみてください。例外は敵ではなく、プログラムをより良くするための「改善のヒント」です。例外処理を味方につけて、堅牢なアプリを作っていきましょう!

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